横浜、鎌倉、箱根・小田原、湘南 と地域ブランドの見本市のような神奈川県。
では、「湘南」とは、どの辺りなのか?
地元住民からすれば、「よそ者がとやかくいう資格は無い!余計なお世話!」なはずであるが、
問題は、地元住民の間でも、ここが湘南なのかどうか、人によって意識が違う点である。
湘南の語源として最も有力な説は、
平塚市と大磯町にまたがる「高麗山(別名「湘南平」)」から望んだ景色という説である。
これに基づけば、横浜、川崎や東京方面の一部内陸地域を除く、
ほとんどの神奈川県が入ることになり、
鎌倉や箱根・小田原まで含まれる。
実際、「湘南ナンバー」の対象地域には箱根や小田原も含まれている。
しかし、それでは余りに広過ぎる上に、生活圏や文化的な違いも大きい。
そこで、生活・文化・歴史的一体性を重視し、
「旧中郡」(平塚市、大磯町と同じ行政域たる秦野市、伊勢原市、二宮町)に加えて、
相模川以西で中郡に隣接し、生活・文化的つながりの強い「旧愛甲郡」(厚木市、愛川町、清川村)
相模川以東ではあるが、県外からは「湘南のイメージ」の強い「旧高座郡」より、
一部地域(藤沢市、茅ヶ崎市、海老名市、寒川町)、
を「湘南地区」として、ここでは扱うこととする。
なお、神奈川県の地形は関東平野の中でも凹凸に富んでおり、横浜市ですら、横浜駅から徒歩で15分も歩けば、急な傾斜を持つ丘に当たる。沿岸部の都市のフラットな部分は、大体埋め立てによるものである。
また、全国有数の工業地帯であり、ここで取り上げた都市の多くは、地域内では「相対的に」工業の集約が進んでいない場合でも、製造品出荷額を見ると、全国レベルでは、とんでもない工業都市であることが多い(別にあげた東京都多摩地区や千葉県東葛地区と比べても、遥かに工業化は進んでいる)。