自由惑星同盟軍の艦艇について

(写真は、第3艦隊 旗艦ク・ホリン)

 

 自由惑星同盟は、その政治体制、シビリアンコントロールの性格上、帝国のような個人が所有する個人艦は一切認められていない。そのため、同盟軍の艦艇は、無駄な装飾など皆無で無骨な印象を受ける。

 しかし、機能性を追及したシルエットや細部の差異に注目すると、彼女たちは実に個性的な魅力を有していることがわかる。また、同盟軍は帝国とは比較にならない程、高機能なデータリンクによる共同交戦システム、艦隊行動支援システムを運用しており、旗艦の指揮の下、艦隊があたかも「ひとつの有機体」のようにスムーズな行動をとる。同盟軍では、撹乱などの目的で無人艦を使用することが多いが、これは、前述のようなシステムが完備されて、初めて可能になる戦術である。

 同盟軍の艦隊旗艦は、正規艦隊(定数約1万3千隻)の場合、1000m級の旗艦専用に設計された大型戦艦がその任に当たるのが一般的である。このクラスは、艦にもよるが一般に艦首に大口径光子砲40門という桁違いの火力を備えている。当時の同盟軍の主力戦艦が艦首8門であることからも、その火力の凄まじさは容易に想像できる。

 もっとも、用兵側からは、1万隻単位の艦対戦で数隻の高性能艦が混じったところで、戦局には何の影響も生じない。標準型戦艦の旗艦施設だけ強化すれば十分との意見が恒常的に出ている。

 では、なぜ、このような様々な高性能艦が建造され続けるのであろうか?理由は簡単である。政官財(軍需産業)の癒着である。また、旗艦はある程度、新兵器の試験艦的な役割も担っているのも事実である。

 一般に、同盟軍の艦艇はコスト削減と量産性向上のため、エンジンは1基しか搭載していないという誤解がある。確かに、基本的にメインエンジンは1基であるが、補助推進装置を搭載しており、生存性を確保している。

 エンジンが1基では、基地に係留でもしない限りエンジンを停止した途端に、制御不能に陥ってしまう。最悪、味方惑星の引力に引き込まれ、乗員もろとも流れ星である。

 では、エンジンを常に稼動させれ続ければいいのか?それでは、エンジンの寿命があっという間に尽きる。万単位の艦が進宙後、数週間でエンジンをオーバーホール又は交換(非戦力化)する羽目になったら、帝国と戦う以前に財政破綻で滅亡するわ!!

 そもそも、同盟の人的資源は、帝国のそれに比して著しく少ない為、兵士の価値は帝国とは比較にならないほど高いのである。兵士の生存性を軽視などしようものなら、政治問題に飛び火し、戦争どころではなくなることは目に見えている。