トリグラフ級

コスト低減のためラザルス級空母の動力ユニットを使用した大火力の新型戦艦という「誤解」のあるクラス。ちょっと考えればわかるとおり、空母クラスの機関部をいくらチューンアップしたところで、主力戦艦の搭載する大口径光子砲を80門分のエネルギーを供給できるはずがない。トリグラフ級の主砲は、巡航艦の主砲である。軍部は企画段階から、中距離戦に特化した戦艦を建造したのであり、長距離戦は搭載するミサイルによるものと割り切って設計している。このクラスは、正規艦隊より、艦艇数が少なくそれに比例して、一艦当りの火力が重視される地方艦隊から非常に人気があり、新型艦としては珍しく地方艦隊から優先的に配備が開始されている。というより、従来の長距離戦重視のダイダロス級戦艦が主力を占める正規艦隊において、中距離戦に特化した戦艦が少数配備されたところで、巡航艦としての使い道しかないのである。

アガートラム

主に旗艦クラスの兵器をテストする為の試験艦。前述の「シヴァ」が、旧式艦を艦種変更したのに対して、純然たる試験艦として建造された。誤解が多いが、フィッシャーは、第4艦隊時代は、アイアース級「ミネルヴァ」に乗っていたのであり、この艦に乗ったのは、第13艦隊に異動してからである。第13艦隊創設時、第4艦隊時代の乗艦「ミネルヴァ」は、書類上いつかは再建されるはずの第4艦隊旗艦となったため、新しいフィッシャー分艦隊旗艦が必要になった。しかし、アスターテの大敗で、多くのアイアース級を失った同盟艦隊は、予備役にあったアコンカグア級まで地方艦隊旗艦として復帰される有様で、正規艦隊のクラスの旗艦が困窮していた。白羽の矢が立ったのが、たまたま旗艦クラスの試験艦で、エンジンや主砲が、規格品を搭載していたアガートラムである。一見してわかるとおり、もともと実戦で使うことを考慮していなかった為、外観は不細工で、火力はともかく、操艦性は最悪であり、操艦支援プログラムの作成等大改装により、やっとのことで、第一線級の機動性を確保した。