グラディエーター

 

【ストーリー】

 時は西暦180年、ローマ五賢帝の一人マルクス・アウレリウス・アンントニヌスの治世末期。

マルクス皇帝は戦況視察のため、ゲルマニア(現ドイツ)を訪れていた。マルクス帝は高齢で、死期を悟っていた彼は次期皇帝を無能な息子のコモドゥスではなく、現地司令官である名将マキシマスにすることを密かに決めていた。しかし、自分が次期皇帝になれないことを知ったコモデゥスは、マルクス帝が次期皇帝を公表する前に、マルクス帝を暗殺し、マキシマスまでも亡き者にしようとする。マキシマスは間一髪、暗殺者の手を逃れるが、愛する家族は皆殺しにされてしまう。「お尋ね者」となったマキシマスは剣闘士の身分に身をやつし密かに簒奪者コモドゥスに復讐する機会をうかがっていた。

 

【感想】

カコイイッ!

 とにかくこの一言に尽きる。オープニングからいきなり大迫力の戦闘シーン。古代ローマ帝国の戦い方を忠実に再現した「組織戦」が見られる。古代・中世を舞台にした作品はブレイブ・ハート」や「ジャンヌ・ダルク」などいくつかあるが、どれも見物は肉弾戦ばかりで、「組織戦」には注意が払われてこなかった。古代ローマ帝国の強さの秘密は長距離攻撃用の投石機、弩弓、石弓などの兵器と、歴史の教科書でも有名な重装歩兵、重装騎兵の連携による組織戦である。この映画では、長距離攻撃兵器による支援攻撃、重装歩兵による密集陣形、騎兵による遊撃戦など、これまでの映画では無視されてきた「組織戦」が見事に再現されている。古代ローマ帝国やその戦術を受け継いだ東ローマ(ビザンチン)帝国に比べれば、ただやみくもに突進するだけの中世の英仏(ブレイブ・ハートやジャンヌ・ダルク)の戦い方が、いかに野蛮なものかが分かる。

 この映画のもうひとつの見所は、CGによって忠実に再現された壮大な「ローマ市」の街並みである。とにかく息を飲む程、美しく再現されたローマの街並みを見るだけでも、ぜひ大画面テレビでの観賞を奨める。